日本における武俠小説は時代小説の「剣豪物・伝奇物」の中国版扱いで、「武俠」という用語自体も、一般的には知られていなかった。また、小説よりも漫画・アニメ作品での紹介が多かった。日本人作家による最初の本格的な作品は、中国文学者でもある武田泰淳の『十三妹』(中公文庫で再刊)である。文庫解説を担当した作家田中芳樹は、『風よ、万里を翔けよ』(同上)をはじめ、武俠小説作品を何作か著している。
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中華圏の作家による武俠小説の日本語訳は、近年になり多く出版された。1996年には、徳間書店から金庸全集の第一弾として『書剣恩仇録』の日本語版が初めて出版された。90年代武俠映画ブーム時の映画作品や、それに影響を受けた94年の日本アニメ「機動武闘伝Gガンダム」と98年の日本アニメ「星方武侠アウトロースター」によって、武俠物というジャンルの認知度が高まっていたこともあってか、徳間書店の96年の金庸全集発刊以降、いくつかの会社から古龍や梁羽生の作品も一部出版された。またそれに続く形で、衛星チャンネルやDVDなどで武俠ドラマが放映され、しだいにファンが増えつつある。